清水まんごくクリニック

熊本県熊本市
清水まんごくクリニック 木村 忠司 院長先生の体験談
ECG Explorer 500を使ってみて

心電計業界では、大手メーカーのユーザーが多く、他社の心電計の情報が乏しいと感じています。当院が平成22年末に購入した、三栄メディシス(株)製のECG Explorer 500の使用感・個人的印象を”情報提供”してみたいと思います。医療関係の皆様のご参考になれば幸いです。
まずは、当院での現状:当院では下図のようにして使用しています。
今までの心電計架台を流用。ノートパソコンを置いて、荷物固定用ベルト(緑色・・・現在は黒色)で固定。ノートパソコンの右側にUSBハブをつけて、パソコンの後ろに、USB経由でセキュリティーキー(キー)、プリンタ、そして500本体を接続しています。パソコンの下には、インクジェット式プリンタを置いています。初期導入は容易でした。

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まず、専用心電計でなくパソコンを使用するメリットは

単価が安くなる
パソコンなら印字はプリンタまかせ、画面・ネットワーク・データ保存は汎用パソコンまかせになるので、総じて安価となります。

故障に強い、故障時もすみやかに使用可能
経年変化で心電図用紙のローラーが滑ったり、ボタンが押ししぶくなったりします。パソコン上の心電計なら、安価なプリンタで新規交換、10万円以下のパソコンを新規購入などで継続使用できます。緊急時に他のパソコン・プリンタにつないで、という手もありますね。

ID、名前の登録が容易
パソコン内にデータ保存する時に、パソコンのキーボードを使用してIDや姓名を登録できます。独自の操作の習得不要で、導入容易、稼動開始が早いです。

ネットワークに強い、データ保存が便利
現在のパソコンなら100M~1Gb/sの高速でネットワークが組めます。心電図印刷をネット上のプリンタで、ということも可能でしょう。データ保存もネットワーク上の他のパソコンやデータサーバーに転送したりUSB端子からUSBメモリに保存して他のパソコンへ、USB端子から外付けハードディスクへ、も可能ですね。

印刷が熱転写用紙でない
熱転写用紙は数年後には印刷が薄くなり判読しづらくなります。パソコンプリンタ方式ならA4用紙に直接印刷しますので印字の劣化を防ぐことができます。また、”心電図用紙の在庫”を考えなくてすむこともメリットです。

往診や院内緊急時に持ち運べる
ノートパソコン(ネットブック)と本体(数百グラム以下)があれば心電図がとれます(100V電源が必要かも)。画面で確認してパソコン内のハードディスクやUSBメモリに波形を保存。あとで印字・紹介先へ添付などが可能です。数Kgの心電計を担いでの移動はちょっと大変です。ノートパソコンがあれば、500+キーを持って行けば心電図がどこでも取れる、というのは魅力的です。

ちなみに、今回、当院で購入したものは、ECG Explorer 500以外に、新品ノートパソコン(4.5万円)+インクジェットプリンタ(0.9万円)のみで、非常に安価にシステムを構築できました。

さて、ECG Explorer 500 の印象、機能(H23年初め、Version 1.002)は

シンプルで使いやすい
機能がキーボードのファンクションキーに割り振られている(マウスでも指定可)。しかも、トグル(表示速度:12.5/25.0/50.0mm/s、筋電フィルター:30/40Hz、ドリフトフィルター:0.05/0.15/0.25/0.50Hz)になっているので、操作も簡単だし修正も容易。IDや名前などの入力ではキーボード入力が必要だが、操作はシンプルで、導入はきわめて容易。

ドリフト除去機能がしっかり
被験者に動いてもらったが、ドリフト機能がしっかり働いてキレイな心電図がとれました。筋電フィルターを画面で確認しながら変更できるのも便利です。

マウス右クリック:画面計測機能にビックリ
心電図画面でマウスを右クリックして移動(ドラッグ)すると、”○○mV、○○m秒、心拍換算○○回/分”と表示されます。R波の高さを測ったり、RR間隔を確認するのに便利です。なお、右クリックでJPEGとPDFファイルへの保存するかどうかのメニューも出ます。

印刷パターンが多い
縦、横で5通り(1列12ch、1ch、3ch、6ch表示など)ずつで合計10通りの印刷可能。デジタル保存なので印刷したあとに、別の形式で印刷することも可能で、この機能も便利です。

コンピューター診断機能あり
循環器専門医にとっては不要のものですが、診断機能があると安心する方も多いでしょう。しかも、診断名をマウスクリックやワープロ形式で追加・訂正する機能があり。「キチンとした形で保存したい」という希望に応えてます。

保存データを呼び出し、感度・速度・印刷パターン・印刷時間帯の変更が可能
ちょっと感激でした。過去データを呼び出してファンクションキーを押すと、心電図表示の感度・速度が変化します。画面下には水平スクロールバーがあり、これをマウスで動かすことにより保存したおいた時間帯の任意の時間を画面表示したり印刷したりできます。また、上記の”マウス右クリック”機能が保存データでも使用できることにも感激です。

保存ファイル形式は・・・
10秒記録で専用ファイル形式で140Kbyte、変換したPDFファイルもJPEGファイルもファイルサイズは930Kbyte程度でした。もちろん、PDFファイルもJPEGファイルも画質は良好です。

画面解像度が低くても使える(メーカー保証外です。推奨しません)
メーカー推奨の”画面解像度は1024×768以上”だが、無理やり画面解像度を800×600して立ち上げてみました・・・ギリギリ使えます。急場しのぎには、画面解像度の小さいネットブックなどでも可能かもしれません。

複数台のパソコンにインストール可能・・・キー(セキュリティキー)が必要だが、
キーが1つ同梱しており、それをパソコンのUSBポートに差し込むことでソフトが作動します。複数のパソコンにソフトをインストールしておいて、いざという時に非常用パソコンに500本体とキーをUSBポートに差し込んで、即、使用できます。普段は検査室に500本体を設置しておいて、非常時に診察室へ500本体とキーを移動して心電図を取る、往診や訪問診療時にノートパソコンと500本体とキーを持参し、所見のパソコン記録とともに心電図を取る、も可能かもしれません。

現状(H22年末、Version 1.002)での機能不足点(平成23年4月追記)

現状では、自律神経機能(RR間隔変動:SD、CVなど)が計測できない
糖尿病専門医や神経内科専門医の先生方は、もの足りなく思うでしょう。でも、一般的なニーズではSD値やCD値を測定することはないでしょう。”不要”といえば不要ですねえ。なお、三栄メディシスでは、心拍変動(自立神経機能)や、late potential計測ソフトも開発中だそうです。

時系列での閲覧が不能
同一個人の複数回の心電図を閲覧できると便利ですが、、、。でも、これってアナログ心電計にもこんな機能はなしです。また、三栄メディシスでは、”ソフトをいずれ開発する”とアナウンスしています。

運動(マスター)負荷試験機能がない
”今の時代にマスター負荷試験は不要(危険)”、”いやいや、なかなか便利な検査だ”とのご意見があるでしょう。総じて”マスター負荷試験機能”がなくても問題ないと思います。どうしてもなら、安静時心電図を取ったあとで、運動負荷を行い、再び経時的に心電図をとってST、T部分を比較すればいいでしょう。

結論として

私は購入してよかった、と思いました。ただ、ご購入はご自身のご判断・責任でお願いします。

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